ポリエステル繊維 のバックアップ(No.1)


ポリエステル繊維(ポリエステルせんい、polyesterfiber)合成繊維は、重合前の分子の種類を変えることによって種々の繊維を作ることができる。
ポリエステル繊維はわが国では東レ、帝人が最先発で、2社の共同名称「テトロン」で工業生産を始め、その後、順次各社が企業化して現在では8社がポリエステルを生産している。ポリエステルはその優れた性質のため、年々生産量が増加し、ナイロンアクリルを合わせた量よりも多くなっている。しかし、ナイロンが産業用、アクリルが寝具、インテリア用に多く使われていることを考えると、衣料分野でのポリエステル使用量は、これらの繊維よりも圧倒的に多いといえる。
ポリエステルの強みはフィラメントにもステープルにもさほどの欠点がないため、あらゆる天然繊維の分野に進出することができたということである。すなわち、フィラメントの分野で綿人絹に大きく入れ代わり、ステープルを大幅に侵食し、レーヨンステープルとの混紡にも適し、羊毛の分野にはやや少ないが、それで、も春夏物には徐々に浸透するというように進展した。
フィラメントステープルはほぼ半々に生産されており、標準品種の断面はナイロンと同じく円形である。ポリエステルは、ナイロンと同じように最も強い繊維の一つであるが、ポリエステルの最も大きな特徴は製品にしたときに張り、腰があることと耐熱性がナイロンアクリルなどよりもはるかに高いことである。そのため、熱セットなどの熱加工がしやすく、製品の洗濯による伸び縮みが少なくてしわになりにくく、イージーケア性に優れている。
特に張りと腰があることは日本人の張り、腰、しゃり味を好む傾向に合致しているといえる。吸湿性が特に低く、結品性がよいので染色性はあまりよくないが、分散染料を使い、高湿染色(湿熱130℃程度)をするか、キャリアを加えることにより100℃で染色できる。しかし、ナイロンアクリルの場合のような鮮明な色を出すことは難しく、これが一つの欠点である。
耐光性はナイロンよりも優れ、長時間日光にさらしでも強度の低下や黄変もない。薬品にも強く、特に耐酸性に優れている。ポリエステルフィラメントは、その約50%がテクスチャード加工糸となって編、織物に使われる。ステープルは、各種の天然繊維再生繊維と混紡されて種々の衣料となるが、100%の紡績糸およびその製品は少ない。また、わたの状態でふとんわたとしても多く使用されている。衣料の分野では、紳士、婦人、子供とも外衣、中衣、裏地などすべてのもの、靴下、ネクタイなどの用品、衣料以外のインテリア、寝装品、帆布、ホースなどの産業用、また、人工皮革、人工スエードとして、コートジャケットなどあらゆる方面に使われている。


出典: ファッション用語辞典『apparel-fashion wiki(アパレルファッション・ウィキ)』

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