ZOZO のプレビュー
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プライベートブランドZOZO概要
ZOZOとはファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイが2017年11月22日に発表した採寸用ボディースーツZOZOSUITと同時に発表したプライベートブランドのこと。ブランドコンセプトは
「ロゴの◯△□のように 人の姿かたちはそれぞれけどよーく見てみると ◯△□の面積はすべて同じ みんな違うけど、みんな一緒 世界中のすべての尊い個性が ファッションで繋がる未来を目指してブランド「ZOZO」はじまります*出典:ZOZO」となっている。
11月末から「ZOZOTOWN」にて展開スタートと発表していたがZOZOSUITの発送延期に伴いZOZOも延期、前沢社長が年明けてなるべく早いタイミングで開始させるとTwitterで語っていた。ZOZOSUITの発送が何度も延期になった後、2018年1月31日の期第3四半期決算発表と同時にZOZO展開スタートを発表した。
但しZOZO商品を購入するにはZOZOSUITでの採寸が必要となっており、肝心のZOZOSUITの供給が遅れている為、購入希望者も購入出来ない状況となっている。
ZOZOSUITで設けられた大きな購入障壁。ZOZOSUITを着なければZOZOは買えない。
eコマースの最大の利点はインターネットが繋がれば思い立った時に商品を探せ、いつでもどこでも注文出来ることである。では「ZOZO」の商品はどうなのか?
「この商品はZOZOSUITによる計測が必要です。」「計測後最短で翌日お届け」とされており、いつでも注文できる大きな利点を無くしている。わざわざZOZOSUITを取り寄せて着用し、スマートフォンアプリで採寸情報を吸い上げ、登録してからでないと買えないのである。何となく巡回して商品に辿り着いた消費者にとっては面倒なことこの上なく、確実に購入意欲は削がれる。直ぐに買いたい消費者にとっては購入対象から外される。eコマースで積極的にアパレルを購入する客層は店頭に行く手間を省いて手軽にファッションを楽しみたい傾向が強く、このままでは消費者ニーズに合わない販売手法となっている。
現時点はZOZOSUIT初回無料となっており予約注文した積極的なユーザーは顧客に取り込みやすいが、初期導入期が過ぎた後、関心が薄い後期追随者を取り込むにはあまりに高過ぎる障壁である。ZOZOSUITが3000円で購入となれば尚更で、1200円のTシャツを買うのに余分に3000円が必要、しかも目的の商品は直ぐに買えないのでは見向きもされない。ZOZOSUITの初期配布が終わり「ZOZO」商品ラインナップが充実する頃には機会損失を回避する新たな販売手法や初回優遇値引き等が打ち出され、ZOZOSUITを長期に渡って実質無料配布することが予測される。
「ZOZO」第1弾商品内容・製造体制の危うさ
プライベートブランド「ZOZO」第1弾はメンズとレディースの半袖Tシャツとジーンズの展開となっている。アイテムと素材の特徴を見ると一部に「ZOZO」のコンセプト、最大の利点をほぼ打ち消す選定が見られ、肝心の製品企画が追いついていない様が表れている。
- 半袖Tシャツ
使用素材が伸縮する上、体型差による袖周辺の調整もさほど求められない為、採寸精度やミリ単位の調整をほぼ必要としないアイテムである。ニット素材は生地自体が伸縮・変形する為、裁断時・縫製時の各工程で必ず数ミリずれる。更に縫い上がった後も変形し、仕上がりで幅1~1.5cm程度ずれるのが普通である。型紙をミリ単位のグレーディングで何千パターン作っても縫い上がりで完璧なミリ単位調整の具現化は実質不可能で、何千パターンも作成すること、そこまで細分化して生産すること自体が過剰な労力ロスである。
ニット素材の特性、カットソー製造時に生じる症状と「ZOZO」製造スキームの利点を理解して照らし合わせれば、おのずと別のアイテムを選ぶか何千パターンも過剰な数を作る発想には至らないはずである。 - ジーンズ
通販でのボトムス購入障壁であった「裾上げの煩わしさ」、「ジャストサイズ選びの難しさ」の解消を提供できる。エンドユーザーに広く試して貰える分かりやすい提案である。
ZOZOSUITの利点とZOZOの特徴を打ち消す素材選定
Tシャツ拡大写真から生地は天竺だと確認出来る。
メンズTシャツ
綿40番手双糸の天竺はTシャツの定番素材で「ZOZO」コンセプト、製造スキームに合った糸の選定である。
レディースTシャツ
綿20番手単糸の天竺は「ZOZO」の利点を完全に打ち消す選定である。その上、レディースにおいて綿20番手単糸の生地は拡販には不向きとされている。
レディースでは中肉で目面が粗くカジュアル感が強い部類とされ、他のアイテムを重ね着した際に干渉し、納まりが悪くなる。一般にもっと細番手の糸、ポリエステルやレーヨン混の薄く柔らかい素材、双糸の滑りが良い素材が使われる。20/-天竺は主にメンズ向けの生地である。
綿双糸=縮み・斜行・変形が抑制され、安定性のある目面が整った糸。糸が引き締まっており、適度なハリ・コシが有る。
綿単糸=縮みやすく、生地を編み上げている最中から斜行変形が伴う。着用、洗濯の度に糸自体の伸縮と斜行運動が繰り返され、生地が変形する。糸自体に膨らみが有り、ソフトで粗野な風合い。
*糸番手、双糸、単糸の詳細はそれぞれの辞典ページにて解説有り。
綿単糸の特徴からどれだけ正確に製品を作っても縮み変形する為、ZOZOSUITの採寸情報からジャストサイズを選んでも数回の着用、洗濯でその状態が維持出来なくなる。何千パターンも型紙を作っても具現化精度が低く、製品のサイズ維持が続かない素材の為、意味が無い。レディースで拡販するには避けるべき素材であり、ZOZOとしても避けるべき素材である。何故メンズ・レディース共に40/2天竺に統一しなかったのか?せめてメンズに20/-天竺、レディースに40/2天竺を設定するべきでは?この企画には首を傾げるしかない。アパレル製品は目的とするプロダクトに生地クオリティが合っていなければ生産効率と商品クオリティが著しく低下し、高単価な製品になる。
現状のスタートトゥデイは仕組みの打ち出しとメディア戦略が過剰先行し、実際の製品企画・製造が取り残されているのを表している商品である。
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出典: ファッション用語辞典『apparel-fashion wiki(アパレルファッション・ウィキ)』