ZOZOSUIT のプレビュー

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ZOZOSUIT概要

ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)とはファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイが2017年11月22日に発表した採寸用ボディースーツのこと。「あなたの身体を瞬時に採寸することのできるボディースーツ」と銘打ち、伸縮センサー内蔵のZOZOSUITを無料配布(配送料200円は別途必要)することを発表した。予約を開始した正午から22時の約10時間で約23万件の注文入り、注目を集めている。
当初は11月下旬から順次発送と発表としていたが2月上旬頃発送予定に延期した後、更に2018年1月早々に発送日未定と再延期発表。徴収されていた送料200円が60日間以上の未決済の為に返金され、手元に届くのはいつになるか全く分からない状況となった。同時に11月末から「ZOZOTOWN」にて展開スタートと発表していたプライベートブランド「ZOZO」も延期、年明けてなるべく早いタイミングで開始させるとTwitterで語っていた。

ZOZOSUIT.png
延期の理由は多くの予約が入り十分な生産量が用意出来ず、具体的な予定日が連絡出来ない状況であると公表していた。後に公開されたインタビュー記事において「予約の数については僕の中では想定内でした。でも生産面で課題があって遅れていて、ご注文頂いた方には大変ご迷惑をおかけしてしまいました。fashionsnap.com1月31日記事」「小さい方や大きい方、特殊な(体型の)方で(計測の)精度誤差が大きかったので、やり直して時間をいただいた。Business Insider Japan2月2日記事」と語っている。
1月31日に配送開始を公表したと同時に予約者に「お届けまで最長6ヶ月又は8ヶ月程度かかる可能性」のお知らせメールが届き、物議を醸している。


ZOZOSUIT仕様について

2016年6月に出資したニュージーランドのソフトストレッチセンサー等の開発・製造を行うStretchSense社と共同開発したもので、伸縮センサーを内蔵したトップスとボトムスに分かれたスーツで、使い方は上下セットで着用し、スマートフォンアプリに通信接続することで身体の寸法を瞬時に採寸出来ると発表されている。 同時に発表したプライベートブランド「ZOZO」の商品開発に活かす起爆剤ツールとして発表され、前澤社長は「データを元に一人一人にぴったりの服を提供する、世界でも類を見ないファッション企業を目指します」、「無料で世界中に配りまくり、一家に一台の存在にする」と自身のTwitterで語っている。


ZOZOSUITを活かした商品とは?

「究極のフィット感」=ZOZOSUITで得られた採寸データに3Dモデリングシステム高次機能パターンメイキングを組み合わせて設計したパターン(型紙)データを照らし合わせ、最適なサイズの商品を供給すること。

プライベートブランド「ZOZO」は「「究極のフィット感」を実現する。ユーザーのサイズ選びの悩みを解消し、ネット通販の新たな〝常識〟を作りたい考えだ。」と打ち出している。ZOZOSUITを活用すること以外は大きな公表なく発表と同時に様々な憶測が飛び交っていたが、
実際は2017年7月時点で既に株式会社スタートトゥデイ自ら具体的な情報をリークしている。
プライベートブランド開発に向けての生産管理・品質管理・アシスタントデザイナー・パタンナー等の人材を2017年7月から募集しており、応募の中身は、

  • 「最先端の3DによるCADシステムを使用」
  • 3Dモデリングシステムを使用」
  • 高次機能パターンメイキングの開発」
  • 「新しい生産の仕組みの開発」
  • 「オンデマンド生産を実現してみたい人」
  • 「仮想装着シミュレーションによるパターン補正と工業化に経験を生かしたい人」
    特に求められるカテゴリーは紳士服とスポーツウェアシャツアンダーウェアに関わる経験がある人としている。
     
    2018年1月31日公開記事にて前澤社長が「ZOZOでは事前に体型予測をして、数千パターンを用意しているのが特徴です。注文を頂き、所有するパターンの中から近いものを選び微調整をして配送するという一連のシステムを構築しました。fashionsnap.com1月31日記事」と語っている。

ZOZOSUITWWD.png
(WWD JAPAN2017年7月11日記事)


プライベートブランド「ZOZO」で実現を目指す試みとは?

前澤社長は過去にPB商品について「誰でも持っているようなベーシックな商品で、品質と価格のバランスは世界でも最高水準となる」と語っている。
実現を目指す試みの具体的な内容はトヨタ自動車の生産方式に代表されるカンバン方式「ジャストインタイム(必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する)」をアパレル製造インフラとしての構築、「ZOZO」での実現と捉えられる。求人内容の「新しい生産の仕組みの開発」、「オンデマンド生産を実現してみたい人」はこの為に募集している。
「ZOZO」が目指すジャストインタイム方式は高需要が見込まれる特定のサイズについては一定量の製品を初回生産すると共に生地や附属等の資材類を一定量備蓄し、注文と同時に流れてくる採寸情報をCAD/CAMシステムデータを用いて裁断以降の製造工程に繋げ、必要量だけを供給することである。アパレル産業が好調であり投資も活発であった1980年代には幾つかの大手企業が試みてはいたが構築出来ず、アパレルでの大規模なジャストインタイム製造インフラは2018年時点では構築されていない。
昨今はアパレル商品の供給過多、市場価値の低迷、過剰供給品の廃棄が世界中で問題となっている。日本のアパレル産業、特に小売業は商社及びOEM/ODMメーカーへの丸投げ体質が強く、「売れるものを提案して安く作って!納期はこれで!」という言葉の通りの丸投げ依頼だけで机上のMD計画を組み、生地生産、縫製期間、輸送期間等、物理的に必要なリードタイムを無視して発注し、売上計画まで組むことが当たり前となっており、ずさんな仕入調達がまかり通っている。在庫過多や売上不振が起きて当然の環境に一石を投じる試みだと言える。


前澤社長がつぶやいた「zozo」キーワードを紐解く

前澤社長はTwitterでプライベートブランド「zozo」概要のヒント、キーワードをつぶやいており、それを紐解いた詳細は以下の通りである。

  • 世界初の試みになると思います。

    未だ構築されていないアパレル生産・供給方式をインフラから整備する。
  • ICT、IoTをフル活用します。

    「ICT」は情報伝達技術、「IoT」はモノがインターネットとつながる仕組み・技術のこと。ZOZOSUITで入手した採寸情報を参照し、高次機能パターンメイキングで作り上げたパターンデータの中から最適なサイズを抽出、製品在庫情報と照らし合わせ、在庫があれば出荷へ進む。平行してその情報を生産工場のCAMと連動し、製品在庫が無ければ生地裁断以降の生産工程へ繋げる。
  • 企画開始から6~7年かかっています。

    構想は以前から有ったかもしれないが、公表スケジュールに対し実態が伴わない行き過ぎたプレスリリース、エンドユーザーを過剰に煽るメディア戦略に疑問の声が上がっている。
  • 老若男女、広くお楽しみいただけます。

    構想が実現出来れば老若男女だけでなく、人種や国、地域毎に異なる体型特徴も今までより早く高い精度でカバーし、企画のアンマッチを減らすことで海外進出のハードルを下げることが期待でき、海外進出時に迅速なローカライズ商品の供給に繋げられる。あくまで理想通り実現出来ればの話ではあるが、是非実現してほしい。
  • 膨大な購入履歴データを参考に分析して作るのではなく、そんな簡単なことではない。

    発展途上の技術を採用し、製造・供給インフラの根幹から作り上げる大規模な試みであり、投資である。これ程の投資に踏み切れる体力がある日本のアパレル企業は数える程しかない。

ZOZOSUITプライベートブランド「ZOZO」開発に向けての投資

プレスリリース内容にまだ実態が伴っていないが、開発する為の設備導入には惜しみなく投資をしている。開発人材の登用と同時に最新鋭のCAD3Dモデリングシステム高次機能パターンメイキングシステムを複数台導入し、最新鋭工業ミシン、縫製設備まで調達している。但し、お金で物を揃えられるがその道具を扱える人材と管理できる人材が十分に確保出来ず、満足に可動出来ない状況に陥っている。2018年2月現在でも幾つかの職種で求人を出している。

  • パタンナー不足 高次機能パターンメイキングは最近になって開発が進み始めた技術の為、取り扱い経験者自体がごく少数である。
  • 縫製ライン管理者不在 日本国内の縫製業は依然から衰退産業であり、新しい人材は育っていない。日本国内の縫製ライン管理経験者の殆どが高齢の工場長兼社長もしくは家業を継ぐ為に務めている後継者で占めており、人材の流動性が無い。
  • 縫製工員不足 日本国内の縫製工員はおばあちゃん、パートのおばちゃん、アジア人研修生が殆どである。スタートトゥデイが求める様な最新鋭設備を理解して扱える即戦力人材は稀である。

公開情報から読み取れる今後の期待と疑問点(編集中

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2018年1月21日~24日の間、掲載されたZOZOSUITに関する記事におきまして当時では真相不明、公平ではない不適切な内容が含まれている可能性、閲覧者様に誤解を招く可能性があるとのご意見・ご指摘を受けた為、基本方針にそぐわない該当箇所を削除・更新致しました。
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出典: ファッション用語辞典『apparel-fashion wiki(アパレルファッション・ウィキ)』